『フェアプレイ』
こんにちは。コーチの伊藤です。
今回は、ある海外トップリーグの試合での出来事から。
… … …
試合中、自陣ゴール前のペナルティエリア内、相手選手が周りにいない状況で、GK(ゴールキーパー)が足元にボールを置きます。
それを見た相手選手は、ボールを奪おうと寄っていきます。
相手選手が近付いて来たので、GKは手でボールを取りました。
次の瞬間、GKのスパイクの紐がほどけていることに相手選手が気付き、その紐を結び始めるのです。
※GKはグローブをはめているので、靴の紐がほどけた場合に、一度グローブを外す手間や時間を踏まえ、味方選手が結ぶことがあります。
紐を結び終えて、二人は簡単に握手をして離れ、GKがボールを蹴った瞬間に、レフリーの笛が鳴りました。
※ルールに、GKはボールを手で保持した場合に、6秒以内に離さないといけない「6秒ルール」というものがあります。
その6秒ルールにより、相手チームにフリーキック(間接)が与えられます。
レフリーに言い寄る、選手達。
時間がかかった理由は自分達ではなく、相手にあると。
※意図的に自分達で時間をかけ過ぎると、遅延行為とされ、注意や警告を受けることがあります。
しかし、レフリーもミスジャッジをしたわけではありません。
ルールにのり、公平に判断をしたのです。
むしろ、その状況に流されず決断をすることは、正しくもあります。
GKもゴールにポジションを取り、壁も揃えます。
キッカーには、先ほど紐を結んだ相手選手を含め、数人が立ちます。
「もしかしたら、フリーキックを得るために、意図的に紐を結び時間をかけさせたのでは?」
そんな思いも過ります。
レフリーの笛が鳴り、助走を始め、その紐を結んだ相手選手がボールを蹴りました。
そのボールは…
…ゴール横に大きく外れ、別の方向へ飛んでいきました。
その選手は、意図的にボールを外へ蹴り出したのです。
ゴールラインを割ってゴールキックとなり、グラウンドにいる選手、会場から拍手が沸き起こりました。
その選手が取った行動は、純粋に相手選手を思い、考えたものだったのです。
… … …
プロであれば、何より勝利を優先的に求められるでしょう。
勝負のかかった試合の中で、相手のことには目を瞑りたいと思うような状況下で、
このルール上だけのものではないフェアプレイを、トッププロ選手がみせてくれました。
どんなゲーム展開、どんな状況下であっても、仲間だけでなく、相手のことも思えるかどうか。
それはどのカテゴリーであっても、どのレベルであっても変わりません。
サッカーを真に楽しむために。
心掛けていきたいと思います!
それでは、また。
今日の一言!
「行動としてのフェアプレイ(ルールを守る)と、フェアプレイ精神(フェアな心)を!」